31章:積分回路

    作成2014.02.09
     積分回路の検討をします。

  1. 積分基本回路
    (1)評価回路
     積分基本回路を図31-1に示します。

     
    (2)積分基本回路の出力電圧
     図31-1において

    (31.1)式を整理すると以下の式となります。

     入力信号が正弦波とするならば

    となり、低周波ほど増幅率が大きくなることになります。


  2. 積分基本回路の正弦波を入力時の出力波形評価
     積分基本回路の容量C=0.033μF、抵抗R=33kΩとした場合の正弦波を入力時の出力を簡易オシロで観 察した結果を図31-2に示します。

    図31-2において以下のようになりました。
    (1)入力V1(正弦波)電圧=2.02V
    (2)出力Vo(積分波形)電圧=3.20V
    (3)数値積分波形(計算値)=3.25V
    (4)出力Vo(積分波形)はマイナス側に飽和があり、電圧シフトが無い。
    (5)数値積分波形(計算値)はマイナス側に飽和が無いが、電圧シフトが発生する。


  3. 積分基本回路の方形波を入力時の出力波形評価
     積分基本回路の容量C=0.033μF、抵抗R=33kΩとした場合の方形波を入力時の出力を簡易オ シロで観察した結果を図31-3に示します。

    図31-3において以下のようになりました。
    (1)入力V1(方形波)電圧=2.41V
    (2)出力Vo(積分波形)電圧=4.03V
    (3)数値微分波形(計算値)=4.64V
    (4)出力Vo(積分波形)はマイナス側に飽和があり、電圧シフトが無い。
    (5)数値積分波形(計算値)はマイナス側に飽和が無いが、電圧シフトが発生する。


  4. 結果の検討
    (1)積分基本回路の出力の計算式は純粋数学の積分定義と一致する。
    (2)出力Vo(積分波形)はマイナス側に飽和があり、電圧シフトが無い。
    (3)数値積分波形(計算値)はマイナス側に飽和が無いが、電圧シフトが発生する。
    (4)上記結果は、出力Vo(積分波形)と数値積分波形(計算値)は厳密には一致しないことを意味する。
    (5)数値積分においては、オフセット電圧により飽和することが無いが、積分基本回路においては飽和電圧が存在するため、限界以上のオフセットはできず電圧シフトが無くなると思われる。
    (6)出力可能な電圧範囲があり、容量Cと抵抗Rを状況により調整する必要がある。
    (7)簡易オシロの測定可能電圧は0〜5Vでマイナス側を測定できません。簡易オシロの入力は抵抗分圧で電圧を調整しました。
    (8)簡易オシロは出力波形のグランド基準で測定できません。オフセットを与えて測定するため、オフセット誤差が発生します。
    (9)オフセット誤差は測定後補正しました。









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