32章:積分回路(2)
作成2014.02.10
飽和防止の積分回路の検討をします。
- 飽和防止の積分回路
(1)評価回路
飽和防止の積分回路を図32-1に示します。
(2)飽和防止の積分回路の出力電圧
図32-1において
(32.1)式を整理すると以下の式となります。
(31.2)式をステップ応答として代数解を求めると
となり、R2が大きいほど緩やかに変化することになります。
- 飽和防止の積分回路の正弦波を入力時の出力波形評価
飽和防止の積分回路の容量C=0.033μF、抵抗R1=33kΩ、抵抗R1=330kΩとした場合の正弦波を入力時
の出力を簡易オシロで観察した結果を図32-2に示します。
図32-2において以下のようになりました。
(1)入力V1(正弦波)電圧=1.98V
(2)出力Vo(積分波形)電圧=3.20V
(3)数値計算波形(計算値)=3.35V
(4)出力Vo(積分波形)はマイナス側に飽和が無く電圧シフトが無い。
(5)出力Vo(積分波形)はと数値計算波形(計算値)は良く一致している。
- 飽和防止の積分回路の方形波を入力時の出力波形評価
飽和防止の積分回路の容量C=0.033μF、抵抗R1=33kΩ、抵抗R1=330kΩとした場合の方形波を入
力時の出力を簡易オシロで観察した結果を図32-3に示します。
図32-3において以下のようになりました。
(1)入力V1(方形波)電圧=2.41V
(2)出力Vo(積分波形)電圧=4.35V
(3)出力Vo(積分波形)波形は直線ではなく、僅かにカーブする。
(4)数値計算波形(計算値)=5.00V
(5)出力Vo(積分波形)はマイナス側に飽和があり、電圧シフトが無い。
(6)数値積分波形(計算値)はマイナス側に飽和が無いが、電圧シフトが発生する。
- 結果の検討
(1)飽和防止の積分回路の計算式は純粋数学の積分定義と一致しなくなる。
(2)方形波を入力時の出力波形は、直線による三角波ではなく、僅かにカーブする。
(3)正弦波を入力時の出力波形は、数値計算結果とよく一致する。
(4)方形波を入力時の出力波形は、マイナス側が僅かに飽和する。
(5)方形波を入力時の数値計算波形はマイナス側の飽和が無いが、オフセット誤差が発生します。
(6)出力可能な電圧範囲があり、容量Cと抵抗Rを状況により調整する必要がある。
(7)簡易オシロの測定可能電圧は0〜5Vでマイナス側を測定できません。簡易オシロの入力は抵抗分圧で電圧を調整しました。
(8)簡易オシロは出力波形のグランド基準で測定できません。オフセットを与えて測定するため、オフセット誤差が発生します。
(9)オフセット誤差は測定後補正しました。
33章:三角波・方形波発振回路に行く。
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