8章:電解質の電気抵抗測定の検討

    作成2014.06.08

     電解質の電気抵抗測定の検討をします。

  1. 電解質の電気抵抗測定の評価回路図
     電解質の電気抵抗測定の評価回路図を以下に示します。



  2. 評価プログラム
     まずは下記の「37-8.zip」ファイルをダウンロードしてください。
    [37-8.zip]をダウンロードする。

    解凍するとフォルダー内にUSB-HID-SCDフォルダーがあります。USB-HID-SCDフォルダー内に

    (1)MPLAB IDE-Xフォルダー
    *MPLAB IDE-X\src\apps\usb\device\hid_custom\firmware\MPLAB.Xがソースプログラムです。
    *ファイルの相対位置関係は変えられません。
    *容量削減のため、直接関係無いと思われるファイルは削除しました。
    *「XC8」用です。

    (2)Windows Softwareフォルダー
    (2-1)PnP Demo - Windows Softwareフォルダー
    *Microsoft Visual C# 2012 Express(ソース)

    (3)注意事項
    *上記プログラムはPIC18F4553用に修正してあります。
    *Microsoft Visual C# 2012 Express(ソース)はVS Express for Desktopを管理者として実行しHID PnP Demo.slnを開く必要があります。 (ダブルクリック起動ではビルドが成功しません。)


  3. 操作方法
    (1)パソコンでHID PnP Demoを起動して、測定開始ボタンを押すと測定データファアイルが作成されます。



  4. 電解質の電気抵抗測定の波形
     電解質溶液に直流電流を流すと陰極にプラスイオンが集まり、陽極にマイナスイオンが集まり伝記メッキと同じ現象が発生します。
     この問題を避けるため、電解質の電気抵抗測定においては交流電流を流します。電解質の電気抵抗測定の評価回路においては、交流電流をソフト的に発生します。
     電解質の電気抵抗測定の評価回路におけるRD0、RD1、RA1点の電圧変化を測定した結果を以下に示します。

     図8-2において
    *RD0>RD1の時、正方向に電流が流れます。
    *RD0 *RD0=RD1の時、電流は流れません。
    *RA0は抵抗値測定のための電圧です。(正方向電流時の値を使用します。)


  5. カーボン抵抗の測定
     あらかじめ値のわかっているカーボン抵抗を測定して、測定値確認を行います。
     測定結果を以下の表に示します。
    抵抗値(kΩ)2000100050010047103.310.330
    理論値4361032707218055947293664821565220
    計測平均値435413270721784599330727032401127263
    1435103275621762599730717042401127063
    2436443276621775598630727032401127363
    3436633261121824598630727032401127363
    4434913263021758599830727032401127163
    5435043276521782599430727032401127363
    6434773276821827599430727032401127064
    7436163260821757598830727012401127364
    8435033276821786598930727032401127063
    9435033276821820599830727032401127464
    10435033263321753599530727032401127063
     上記の表をグラフにすると以下のようになります。

     上記の図の理論値は単純な抵抗分圧の計算です。理論値と計測平均値はよく一致することが確認できます。


  6. 電解質(食塩溶液)の電気抵抗測定
     電解質(食塩溶液)の電気抵抗測定用電極は
    ピンヘッダ 1×40 (40P) ¥40/40P 秋月電子通商
    http://akizukidenshi.com/catalog/g/gC-00167/
    を使用しました。電極間隔は2.54mm、ピン径Φ1.02、突き出し長さ6.1mmです。

     溶液は、水道水、食塩0.5%(重量比)、1%、2%、4%を容易しました。
     測定結果を以下の表に示します。
    No空気水道水0.0050.010.020.04
    抵抗値(kΩ)438744.631.32418.615.9
    計測平均値5327227911987153411921025
    1533403298179815441287962
    2532272940186416721211918
    35330628142489149713301010
    45327426342346153012241212
    55322425362024152211471031
    65331726361971181212131072
    75322228061910147910681064
    85331428731775146210251055
    9532172694177914801172967
    10532802677191313381238956
     抵抗値は空気の場合、約4.4MΩの高い値をしめすが、水道水では、約45kΩと1/100以下に減少します。また、食塩の濃度上昇に伴い抵抗値が減少することが確認できます。


  7. 結果の検討
    (1)電解質の電気抵抗測定では、メッキ現象をさけるため電流は直流でなく、交流にする必要がある。
    (2)交流電流はソフト的に発生すると回路を簡略化できる。
    (3)水道水の電気抵抗は空気と比較して1/100以下に小さくなる。
    (4)これを利用して水面検知が可能である。
    (5)食塩の濃度上昇に伴い抵抗値が減少する。
    (6)電気抵抗は電極間隔や形状にも依存するが、目的に応じて最適化する必要がある。(今回はピンヘッダ2.54mmを使用しました。)













9章:アース抵抗観測レコーダに行く。

トップページに戻る。