6章:PWMによる高周波波形と周波数特性の測定(2)

    作成2014.12.05
     PIC18F4553マイコンのPWM機能を利用すると2.9KHz〜12MHzの高周波波形を得ることができます。この機能を利用した抵抗、 コンデンサ、インダクターの周波数特性測定を検討します。

  1. 周基準素子抵抗・測定素子抵抗の測定データ
    (1)基準素子抵抗・測定素子抵抗の評価値
     基準素子1kΩ、測定素子3.3kΩの測定結果を以下に示します。

    基準素子抵抗・測定素子抵抗の場合、RA0とRA1の電圧は周波数に対してほぼフラットになります。この場合の評価値として

    を用いることにします。

    (2)基準素子抵抗・測定素子抵抗の場合の評価値グラフ
     基準素子抵抗・測定素子抵抗の場合の評価値グラフを以下に示します。

     上記グラフから、評価値は基準抵抗の値から離れると非線形となり、正確な値が求まりにくくなるため、基準抵抗と測定抵抗の 値は近似的に一致させる必要があることが理解できます。


  2. 基準素子抵抗・測定素子コンデンサの測定データ
    (1)基準素子抵抗・測定素子コンデンサの評価値
     基準素子1kΩ、測定素子100pFの測定結果を以下に示します。

    基準素子抵抗・測定素子コンデンサの場合、RA0とRA1の電圧は特定の周波数でクロスします。この場合の評価値として

    を用いることにします。

    (2)基準素子抵抗(1kΩ)・測定素子コンデンサの場合の評価値グラフ
     基準素子抵抗(1kΩ)・測定素子コンデンサの場合の評価値グラフを以下に示します。

     上記グラフから、評価値は対数目盛で直線となります。基準素子抵抗(1kΩ)で約10pF〜0.1μFま での容量測定が可能であることが理解できます。


  3. 基準素子抵抗・測定素子インダクタの測定データ
    (1)基準素子抵抗・測定素子インダクタの評価値
     基準素子1kΩ、測定素子1mHの測定結果を以下に示します。

    基準素子抵抗・測定素子インダクタの場合、RA0とRA1の電圧は特定の周波数でクロスします。この場合の評価値として

    を用いることにします。

    (2)基準素子抵抗(1kΩ)・測定素子インダクタの場合の評価値グラフ
     基準素子抵抗(1kΩ)・測定素子インダクタの場合の評価値グラフを以下に示します。

      測定点数が少ないですが上記グラフから、評価値は対数目盛で直線となります。基準素子抵抗(1kΩ)で 約0.1mH〜10mHまでのインダクタ測定が可能であることが理解できます。


  4. 基準素子インダクタ(1mH)・測定素子抵抗の測定データ
    (1)基準素子インダクタ(1mH)・測定素子抵抗の場合の評価値グラフ
     基準素子インダクタ(1mH)・測定素子抵抗の場合の評価値グラフを以下に示します。

     上記グラフから、評価値は対数目盛で直線となります。基準素子インダクタ(1mH)で約100Ω〜10kΩま での抵抗測定が可能であることが理解できます。


  5. 基準素子インダクタ(1mH)・測定素子コンデンサの測定データ
    (1)基準素子インダクタ(1mH)・測定素子コンデンサの場合の評価値グラフ
     基準素子インダクタ(1mH)・測定素子コンデンサの場合の評価値グラフを以下に示します。

     上記グラフから、評価値は対数目盛で直線となります。基準素子インダクタ(1mH)で約10pF〜0.1μF までの容量測定が可能であることが理解できます。


  6. 基準素子コンデンサ(100pF)・測定素子抵抗の測定データ
    (1)基準素子コンデンサ(100pF)・測定素子抵抗の場合の評価値グラフ
     基準素子コンデンサ(100pF)・測定素子抵抗の場合の評価値グラフを以下に示します。

     上記グラフから、評価値は対数目盛で直線となります。基準素子コンデンサ(100pF)で約 100Ω〜10kΩまでの抵抗測定が可能であることが理解できます。


  7. 基準素子コンデンサ(100pF)・測定素子インダクタの測定データ
    (1)基準素子コンデンサ(100pF)・測定素子インダクタの場合の評価値グラフ
     基準素子コンデンサ(100pF)・測定素子インダクタの場合の評価値グラフを以下に示します。

     データ点数が少ないですが上記グラフから、評価値は対数目盛で近似的に直線となります。基準素子コンデンサ (100pF)で約0.1mH〜10mHまでのインダクタ測定が可能であることが理解できます。


  8. 結果の検討
    (1)周波数特性測定回路を抵抗測定、容量測定、インダクタ測定に適用してみました。
    (2)測定素子が純粋な容量またはインダクタの場合、基準素子は抵抗が最適な結果となりました。
    (3)測定素子が純粋な抵抗の場合は、基準素子はインダクタまたはコンデンサが最適と思われます。
    (4)今回は、純粋な抵抗測定、容量測定、インダクタ測定について検討しました。
    (5)抵抗、容量、インダクタ複合素子については、今後の課題となります。




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