8章:刃こぼれしたナタの再研磨

    作成2015.05.28

     昔、アウトドアのまき割り用に使用したナタですが、かなり乱暴に扱ったためか刃こぼれがひどく、錆びた状態で保存してありました。
     刃こぼれがひどく手作業での研磨が困難でしたが、研削能力の高いディスクグラインダーを使用して再研磨してみました。

  1. 刃こぼれしたナタの再研磨手順
    (1)刃こぼれの研削
    *E-Value ディスクグラインダー 550W EDG-550とレヂボンエースゴールド RA-GII(外径100X厚さ6X孔径15)を使用して刃こぼれ部分を研削します。
    *かなり豪快に研削でいます。
    *正確な面は研削できません。かなりおおまかな面形状となります。

    (2)ディスクグラインダー研削後の荒研磨
    *アルミ板上にナニワ ラッピングパウダー WA60(アルミナ粒子粒子径250〜300μm)をまいて、ラッピングします。
    *従来から使用している金剛砥石(炭化けい素質)より、効率的に研磨できました。

    (3)荒研磨後の中研磨
    *従来から使用している中研磨砥石(褐色アルミナ質)で荒研磨でできた傷取りをします。

    (4)中研磨後のバフ研磨
    *ヤナセ フェルトディスク ソフト HF02とヤナセ 白棒 バフ用研磨剤 中みがき仕上用 WKとヤナセ 青棒 バフ用研磨剤 鏡面仕上用 BKを使用してバフ研磨をします。
    *見た目が良くなります。
    *腐食しにくくなります。

    (5)刃部分の中研磨
    *刃の部分はバフ研磨後に再度行いまし。
    *従来から使用している中研磨砥石(褐色アルミナ質)を使用しました。

    (6)刃部分の仕上げ研磨
    *従来から使用している仕上げ研磨砥石(天然石)で仕上げ研磨します。


  2. 再研磨後のナタの外観
     再研磨後のナタの外観を以下に示します。

    *刃の部分が硬い焼入れ鋼で、軟鉄と張り合わせになっています。
    *硬い焼入れ鋼の部分は表面が滑らかに光ます。
    *「手打」「長雲斉正広」「165」の刻印が光ます。(けっこういいものかも?)


     裏側の外観を以下に示します。

    *硬い焼入れ鋼の部分は表面が滑らかに光ます。
    *硬い焼入れ鋼の部分が表より長くなっています。
    *軟鉄と硬い焼入れ鋼は斜めに張り合わせてあります。


  3. 枯れた金木犀の伐採
     幹の直径が15cmほどの金木犀が枯れてしまいました。再研磨後のナタの初仕事は枯れた金木犀の伐採です。
     まずは金木犀の幹を削ってみました。

    *切れ味が良く、あっという間にけずれます。
    *意外と簡単に枯れた金木犀の伐採が出来そうです。

    *10分ほどでバラバラになってしまいました。
    *枯れた金木犀の伐採は簡単でした。
    *伐採後のナタの刃こぼれはありませんでした。


  4. 刃こぼれしたナタの再研磨まとめ
    (1)硬い焼入れ鋼は、研磨により鋭い刃となり、優れた切れ味を持ちます。
    (2)反面、脆くなり強い衝撃により折れやすくなります。
    (3)薪割りに使用する斧は、衝撃により薪を割る方式で鋭い切れ味はありません。
    (4)今回のナタはアウトドアで主に薪割りに使用しました。
    (5)純粋な薪割りなら、刃こぼれしないはずなのですが、石の上で薪割りするなど乱暴な取り扱いでひどい刃こぼれが生じたと思われます。
    (6)刃こぼれの研削は手研磨で困難な量であったため、再研磨をあきらめていました。
    (7)しかし、ディスクグラインダーの研削能力は高く、ひどい刃こぼれを無くすだけの研削が可能となりました。
    (8)ディスクグラインダーの研削能力は高い反面、正確な面形状の研削が難しい問題があります。
    (9)ディスクグラインダー研削後の荒研磨量が増大します。
    (10)荒研磨量の増大に有効だったのが、アルミ板上にナニワ ラッピングパウダー WA60(アルミナ粒子粒子径250〜300μm)をまいてのラッピングです。
    (11)ついでにバフ研磨を実施しましたが、これは見た目と腐食防止が目的で切れ味に関係ありません。
    (12)刃こぼれがなければ、中研磨と仕上げ研磨のみで切れ味は回復します。
    (13)枯れた金木犀の伐採は驚くほど短時間で簡単にできました。また、刃こぼれもありませんでした。
    (14)「手打」「長雲斉正広」「165」は名品のナタなのかもしれません?




9章:電動ドリルの水平固定冶具の自作に行く。

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