3章:草木染めに必要な薬品
作成2019.05.13
草木染めに必要な薬品は、媒染のための薬品とpH制御のための薬品です。
- アルミニウムカリウム媒染用薬品
材料
(a)【焼ミョウバン】硫酸アルミニウムカリウム(乾燥)
(b)水道水
道具
ボール、計り、なべ、コンロ
調合方法
(1)【焼ミョウバン】:水道水=1:100(重量比)で計量します。
(2)なべ、コンロで溶解します。
- 鉄媒染用薬品
材料
(a)鉄くぎ
(b)食用酢または粉末クエン酸
(c)水道水
道具
鉄フライパン、ボール、計り、コンロ
調合方法
(1)鉄フライパンに鉄くぎをいれて、表面が黒くなるまで加熱します。
(2)加熱した鉄フライパンの鉄くぎに酸性液(食用酢:水道水=1:1または粉末クエン酸:水道水
=1:40)をいれて、いちど沸騰させた後冷やします。
(3)鉄くぎと酸性液をビンにいれて、保存します。
(4)使用時は、上記の酸性液:水道水=1:10で薄めて使用します。
- 銅鉄媒染用薬品
材料
(1)銅板チップ
(b)食用酢または粉末クエン酸
(c)水道水
道具
銅版製小皿(t1の板から自作)、ペンチ、ボール、計り、コンロ
調合方法
(1)銅版製小皿に銅板チップをいれて、ペンチで持ってコンロで、表面が黒くなるまで加熱します。
(2)黒く酸化した銅板チップを保存ビンにいれます。
(3)銅板チップをいれた保存ビンに酸性液(食用酢:水道水=1:1または粉末クエン酸:水道水
=1:40)をいれます。(保存期間が長いほど銅イオン濃度が高くなります。)
(4)使用時は、上記の酸性液:水道水=1:10で薄めて使用します。
注(1)食用酢の酸濃度は約5%程度です。粉末クエン酸方が結果的に安くなります。
- 酸性pH調整染色液
材料
(a)食用酢または粉末クエン酸
(b)染色液
道具
pH計、ボール
調合方法
(1)ボールに染色液をいれ、 pH計で測定しながら食用酢または粉末クエン酸を少量づづ加えます。
(2)良くかき回して、目標のpH値になったら終了です。
(3)酸性が目標をオーバーしたら染色液を加えて薄めます。
- アルカリ性pH調整染色液
材料
(a)消石灰または重曹
(b) 染色液
(c)水道水
道具
pH計、ボール
消石灰での調合方法
(1)ボールに染色液をいれ、 pH計で測定しながら消石灰を少量づづ加えます。
(2)良くかき回して、目標のpH値になったら終了です。
(3)アルカリ性が目標をオーバーしたら染色液を加えて薄めます。
重曹での調合方法
(1)鍋に重曹:水道水=1:10(重量比)をいれて、加熱し、沸騰させます。
(2)ボールに染色液をいれ、 pH計で測定しながら重曹:水道水=1:10(重量比)を少量づづ加えます。
(3)良くかき回して、目標のpH値になったら終了です。
(4)アルカリ性が目標をオーバーしたら染色液を加えて薄めます。
- 鉄媒染がなぜ黒くなるか?
鉄媒染では、ほとんどの染液で黒か灰色となってしまいます。その理由としては、鉄が磁性を持って
いるためと思われます。
光は電磁波であり、磁場が周期的に変動します。これにより鉄の磁性が周期的に変動しますが、ヒステ
リシスがあるため、エネルギーを消耗します。
すなわち、鉄は光を吸収する性質があることになります。
- 銅焙煎とアルミ媒染の違い
銅焙煎とアルミ媒染とでは、僅かですが仕上がりの色に違いが生じます。この理由としては、銅
とアルミの分光反射率の違いの影響と思われます。
以下に各種金属の分光反射率グラフを示します。
上記グラフからアルミ(Al)と銅(Cu)とでは、色に違いが生じることが理解できます。
茶系の色を強調したいとき銅焙煎を用います。また、明るい色が欲しいときは焼ミョウバン媒染を用います。
4章:草木染めの染液の特性に行く。
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