5章:草木染めの標準手順

    作成2019.05.13

     草木染めの手順はいろいろですが、手順、条件等を決めた方が、失敗が少なくなります。ここでは、媒染 液のロスが少ないという理由で先媒染を標準とします。
     また、生地は木綿、そして染液の色素は親水性で、金属イオンの媒染が有効とします。

  1. 媒染液の準備
    (a)アルミニウムカリウム媒染液を約1000cc準備(3章:草木染めに必要な薬品を参照願います。)
    (b)銅媒染液を約1000cc準備(3章:草木染めに必要な薬品を参照願います。)
    注1)鉄媒染液は、黒や灰色となるためあまり使用しません。
    注2)染液本来の色を出したいときは、アルミニウムカリウム媒染液を使用します。(アントシアニン系で使用)
    注3)赤みの色を強調したいときは、銅媒染液を使用します。(タンニン系で使用)
    注4)先媒染のため繰り返し使用できます。

  2. 染液の準備
    (a)染液を抽出ための草または木を採集します。
    (b)採集した草または木を繊維を切断する方向で細かく刻みます。(柔らかい素材はまな板と包丁で刻みます。硬い素材は特殊工具が必要となります。)
    (c)大型のステンレスボールまたは鍋に細かく刻んだ草または木をいれ、水を入れます。
    (d)大型のステンレスボールまたは鍋をコンロで加熱し、約5分程度沸騰させます。
    (e)ゴム手袋をして、火傷しない程度に冷却します。
    (f)ポリバケツに手付きステンレスザルとさらし布をセットします。
    (g)さらし布で煮込んだ染液を濾して固形物を除きます。(さらし布を絞って、染液を絞りだします。)
    (h)ポリ容器で保存します。
    注1)染液は劣化しやすいので3日程度で破棄します。
    注2)酸化酵素で発色する場合は、常温で染液を抽出します。

  3. 先媒染の実行
    (a)大型のステンレスボールまたは鍋に媒染液と染色物(綿)をいれます。
    (b)大型のステンレスボールまたは鍋をコンロで加熱し、約5分程度沸騰させます。
    (c)媒染液と染色物(綿)を保存容器に戻します。
    (d)ゴム手袋をして、染色物(綿)を取り出し、軽くしぼります。

  4. 染色の実行
    (a)大型のステンレスボールまたは鍋に染液と染色物(綿)をいれます。
    (b)大型のステンレスボールまたは鍋をコンロで加熱し、約5分程度沸騰させます。
    (c)染液と染色物(綿)を保存容器に戻します。
    (d)ゴム手袋をして、染色物(綿)を取り出し、軽くしぼります。

  5. 染液のpH調整
    (a)ポリ容器に必要最小限量の染液を小分けします。( pH調整した染液は再利用しません。)
    (b) pH計、消石灰、クエン酸で染液のpH調整を実施します。
    (c) pH調整した染液に染色物(綿)をつけます。
    (d)ゴム手袋をして、染色物(綿)を取り出し、軽くしぼります。
    注1)目標のpH値が不明の場合は、染液の色の変化を見ながらpH調整します。
    注2)染液の色の変化は時間遅れがあるので、酸またはアルカリ性を強くしすぎるのに注意します。

  6. 乾燥
    (a)染色物(綿)を陰干しします。
    注1)色が薄い場合は、再度) pH調整した染液に染色物(綿)をつけ、軽く絞り乾燥します。
    注2)天日干しで染色物(綿)に紫外線を照射すると、染料と染色物(綿)の結合が強固になることがあり ますが、ムラや色の劣化等のリスクを伴います。

  7. 洗濯
    (a)ポリ容器に染色物(綿)と水をいれ、ゆすぎます。
    (b)再度、ポリ容器に染色物(綿)と水をいれ、アクロン等のおしゃれ着用洗剤を少量いれて洗います。
    (c)再度、ポリ容器に染色物(綿)と水をいれ、ゆすぎます。
    (d)染色物(綿)を軽く絞り、陰干しします。

     以上が草木染めの標準的な手順ですが、後媒染や染液に媒染液を混合する方法も可能です。しかし、後媒染 や染液に媒染液を混合する方法は毎回、媒染液を消費して繰り返し使用できません。前媒染は繰り返し媒染液 が使用できる点が便利です。







6章:葉緑素染めの原理と手順に行く。

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