10章:標準レンズの高NA化検討(2)

    作成2019.10.09
  1. 10章検討結果ファイル
      10章検討結果ファイルは以下からダウンロードできます。
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    「 10章検討結果」をダウンロードする。
      10章解凍すると「検討結果」フォルダーがあります。
    (1)光線追跡.dll :3次元光線追跡計算サブルーチン本体
    (2)光線光線追跡-基本.xls : 3次元光線追跡計算の操作
    (3) IN_FM.txt :計算条件表1
    (4) IN_FM2.txt :計算条件表2
    (5) OUT_M.xls :計算結果
    (6)焦点距離計算.xls :焦点距離計算専用VBA
    (7)動作条件説明.txt :必要ファイルの説明
    (8)光線光線追跡-3色f33.xls: Φ20mm、f=33mmアポクロマートレンズ計算ファイル
    (9)光線光線追跡-3色f25.xls: Φ20mm、f=25mmアポクロマートレンズ計算ファイル


  2. Φ20mm、f=33mmアポクロマートレンズ
     (1)「光線光線追跡-3色f33.xls」をダブルクリックでオープンして、シート「IN_FM」をクリックすると 光学系の条件が表示されます。
    (2)光学ガラスは「S-FPL53」と「S-NBM51」と「S-BAH27」と「S-LAH66」を使用しました。
    (3)「焦点距離計算.xls」をダブルクリックでオープンして、シート「多面レンズ(アポクロf33)」をク リックすると焦点距離計算結果表が表示されます。
    NoH(mm)F(mm)Fb(mm)OL(λ)U(rad)F(mm)Fb(mm)OL(λ)U(rad)
    00.00133.068823.80520033.068825.830100
    1233.050723.8036-0.00290.060632.899625.5188-0.52950.0608
    2432.994423.8-0.03990.121532.399324.5974-8.80360.1238
    3632.893523.7986-0.14950.183431.618323.1426-47.0170.1909
    4832.730923.8019-0.27570.246930.839721.5559-151.6370.2624
    51032.449523.7786-0.56810.313332.568823.4484-264.38680.3121
    (4) 「光線光線追跡-3色f33.xls」のシート「操作」をクリックし、「スポットダイアグラム計算実行」ボタンを押します。
    (5)シート「変換」をクリックするとスポットダイアグラムが表示されます。



    (6)シート「作図」をクリックするとレンズの形状が表示されます。



    (7)シート「操作」の「波面収差計算実行」ボタンを押すと、波面収差の計算結果表が表示されます。
     最大の収差は波長486.1nmでグラフにすると以下のようになります。



    *収差の最大は0.10λであり、0.25λ以内の基準を満足しています。この収差を分析すると
    0次0.0056
    1次0
    2次-0.1615
    3次0
    4次-0.1789
    5次0
    6次0.2988
    *6次の球面収差の絶対値が最大ですが、2次の焦点収差、4次の球面収差と符号が逆で合成の収差が小さくなっています。


  3. Φ20mm、f=25mmアポクロマートレンズ
     (1)「光線光線追跡-3色f25.xls」をダブルクリックでオープンして、シート「IN_FM」をクリックすると光学系の条件が表示されます。
    (2)光学ガラスは「S-FPL53」と「S-NBM51」と「S-BAH27」と「S-LAH66」を使用しました。
    (3)「焦点距離計算.xls」をダブルクリックでオープンして、シート「多面レンズ (アポクロf25) 」をクリックすると焦点距離計算結果表が表示されます。
    00.00125.050115.00210025.050110.969700
    1225.046715.0013-0.00240.079924.810210.4125-1.66090.0807
    2425.035214.9997-0.03260.160524.01558.5894-30.50960.1673
    3625.0114.9991-0.1210.242322.32054.8289-209.53970.2722
    4824.956215.0005-0.22340.326318.2519-3.5745-0.4537
    51024.828914.9918-0.44170.4145----
    (4) 「光線光線追跡-3色f100.xls」のシート「操作」をクリックし、「スポットダイアグラム計算実行」ボタンを押します。
    (5)シート「変換」をクリックするとスポットダイアグラムが表示されます。



    (6)シート「作図」をクリックするとレンズの形状が表示されます。



    (7)シート「操作」の「波面収差計算実行」ボタンを押すと、波面収差の計算結果表が表示されます。
     最大の収差は波長656.3nmでグラフにすると以下のようになります。



    *収差絶対値の最大は0.075λであり、0.25λ以内の基準を満足しています。この収差を分析すると
    0次0.0025
    1次0
    2次0.3667
    3次0
    4次-0.7525
    5次0
    6次0.431
    *4次の球面収差の絶対値が最大ですが、2次の焦点収差、6次の球面収差と符号が逆で合成の収差が小さくなっています。

  4. 開口数NAと解像度Rxと焦点深度Df
     (1)レンズの有効半径Ry=9mmで焦点距離f=33mmのレンズ
    *開口数NA=SIN(θ)=Ry/f=9/33=0.27
    *解像度Rx=0.61*λ/NA=0.61*0.546/0.27=1.23μm
    *焦点深度Df=0.5*λ/NA^2=0.5*0.546/0.27^2=3.74μm

     (2)レンズの有効半径Ry=9mmで焦点距離f=25mmのレンズ
    *開口数NA=SIN(θ)=Ry/f=9/25=0.36
    *解像度Rx=0.61*λ/NA=0.61*0.546/0.36=0.93μm
    *焦点深度Df=0.5*λ/NA^2=0.5*0.546/0.36^2=2.11μm


  5. 高NAレンズの設計手順
    (1)高NAレンズの解像度は1μm程度と微小となり、焦点深度も4μm以下となります。
    (2)光線追跡のスポット径は理論解像度より小さい必要があります。
    (3)高NAレンズのスポット径を十分小さくするには、多くのレンズ面の曲率半径を最適化する必要があります。
    (4)多くのレンズ面の曲率半径を最適化する場合、誤差関数の極小値が多数存在するため自動的に最適解を求めるのが困難となります。
    (5)高NAレンズの設計はトライ&エラーの繰り返しとなりますが、設計事例に近い条件から、最適化するのが近道です。
    (6)このためには、公開されたレンズ設計事例が必要です。







11章:f100mm等倍光学系の検討に行く。

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