11章:f100mm等倍光学系の検討

    作成2019.10.11
  1. 11章検討結果ファイル
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    (1)光線追跡.dll :3次元光線追跡計算サブルーチン本体
    (2)光線追跡-基本.xls : 3次元光線追跡計算の操作
    (3) IN_FM.txt :計算条件表1
    (4) IN_FM2.txt :計算条件表2
    (5) OUT_M.xls :計算結果
    (6)焦点距離計算.xls :焦点距離計算専用VBA
    (7)動作条件説明.txt :必要ファイルの説明
    (8)光線追跡-等倍2色f100.xls: Φ20mm、f=100mmアクロマートレンズ等倍光学系
    (9)光線追跡-等倍3色f100.xls: Φ20mm、f=100mmアポクロマートレンズ等倍光学系
    (10)光線追跡-等倍2色f100-像面.xls: Φ20mm、f=100mmアクロマートレンズ等倍光学系像面補正後
    (11)光線追跡-等倍3色f100-像面.xls: Φ20mm、f=100mmアポクロマートレンズ等倍光学系像面補正後
    (12)像面.xls:像面湾曲の計算結果とグラフ


  2. Φ20mm、f=100mmアクロマートレンズ等倍光学系
     (1)「光線追跡-等倍2色f100.xls 」をダブルクリックでオープンして、シート「IN_FM」をクリックすると光学系の条件が表示されます。
    (2)光学ガラスは「S-FPL53」と「 S-LAH66 」を使用しました。

    スポットダイアグラム計算条件入力表
    No記号説明
    1Mp2処理モード(Mp=1入射位置を変数、Mp=2入射角度を変数)
    2NJ8変数範囲の分割数(±NJに分割する)
    3PR0位置変化範囲半径(mm)(Mp=1の時有効)
    4AR0.09角度変化範囲半径(rad)(Mp=2の時有効)
    5U00入射X方向角度(rad)(中心光線を決定)
    6V00入射Y方向角度(rad)(中心光線を決定)
    7X00入射X方向位置(mm)(中心光線を決定)
    8Y00入射Y方向位置(mm)(中心光線を決定)

    光学系基本定数表
    L面数 9
    波長数3
    面数 面種類曲率 位置オフセットXオフセットY最適化最適化屈折率1屈折率2屈折率3-
    無次元無次元(1/mm) (mm)(mm)(mm)条件レンズ番号486.1546.1656.3-
    iM(i)1/R(i) D(i)Ox(i)Oy(i)CaR[i]CR[i]111-
    00095.8700V-111-
    100.0054200--1.783371.776211.7678S-LAH66
    200.0197400--1.441951.439851.43733S-FPL53
    30-0.0281100.1900--111-
    400100.1900--111-
    500.0281400--1.441951.439851.43733S-FPL53
    60-0.0197200--1.783371.776211.7678S-LAH66
    70-0.005495.8700P0111-
    800000--111-
    *処理モードMp=2としました。
    *角度変化範囲AR=0.09としました。
    *面数i=4を基準に対称配置としました。
    *曲率1/Rは基準面を境に符号が反転します。
    *面i=0の最適化条件CaR(0)=Vは焦点位置最適化のため、設定します。
    *面i=7の最適化条件CaR(7)=Pは正符号で面i=0と同期変化を意味します。
    *最適化レンズ番号CR(7)=0は同期する面番号を指定します。
    (3)シート「IN_FM2」をクリックします。
    レンズ曲率(1/R)最適化計算入力表
    No記号説明
    1RN10収束演算繰り返し回数
    2DH0.000001//偏微分を行う際の変化量を設定
    3Nray11評価光線の本数(MAX100)
    4Rx1目標位置重み
    5Ru0目標角度重み
    6RN15曲率半径最適化+軸間距離最適化の曲率半径最適化繰り返し回数
    7RN25曲率半径最適化+軸間距離最適化の軸間距離最適化繰り返し回数
    8DH10.000001曲率半径最適化+軸間距離最適化の軸間距離変化量
    評価光線の設定
    -入射(mm)入射(rad)目標(mm)目標(rad)
    連番X位置Y位置X角度Y角度X位置Y位置X角度Y角度
    [i]X0[i]Y0[i]U0[i]V0[i]TX[i]TY[i]TU[i]TV[i]
    0000-0.090000
    1000-0.0720000
    2000-0.0540000
    3000-0.0360000
    4000-0.0180000
    500000000
    60000.0180000
    70000.0360000
    80000.0540000
    90000.0720000
    100000.090000
    *レンズ中心から出た光線がレンズ中心に集まる評価光線です。
    *レンズ中心の焦点位置を求めます。
    (4)シート「操作」の「レンズ間隔最適化計算実行」ボタンを押します。
    N次元Gauss-Newton法によるレンズ間隔(D)最適化計算結果
    NoEXaXsYaYsD(0)
    10.0240000.02495.87
    20.0080000.00896.002
    30.0030000.00396.046
    40.0020000.00296.061
    50.0020000.00296.066
    60.0020000.00296.068
    70.0020000.00296.068
    80.0020000.00296.068
    90.0020000.00296.068
    100.0020000.00296.068
    (5)シート「操作2」の「間隔最適化計算実行」ボタンを押します。
    (6)シート「操作」の「スポットダイアグラム計算実行」ボタンを押します。
    (7) 「光線光線追跡-3色f25.xls」のシート「操作」をクリックし、「スポットダイアグラム計算実行」ボタンを押します。
    (8)シート「変換」をクリックするとスポットダイアグラムが表示されます。



    (9)シート「IN_FM」をクリックしX0=0.5を設定します。
    No記号説明
    1Mp2処理モード(Mp=1入射位置を変数、Mp=2入射角度を変数)
    2NJ8変数範囲の分割数(±NJに分割する)
    3PR0位置変化範囲半径(mm)(Mp=1の時有効)
    4AR0.09角度変化範囲半径(rad)(Mp=2の時有効)
    5U00入射X方向角度(rad)(中心光線を決定)
    6V00入射Y方向角度(rad)(中心光線を決定)
    7X00.5入射X方向位置(mm)(中心光線を決定)
    8Y00入射Y方向位置(mm)(中心光線を決定)
    (10)シート「操作」の「スポットダイアグラム計算実行」ボタンを押します。



    *スポットが楕円形になり、ばらつきが大きくなることが確認できます。

    *評価光線の設定と「間隔最適化計算実行」で像面湾曲を調べることができます。



    *図11-3から光学中心から離れるに従い、焦点位置が短くなることがわかります。
    *半径方向と円周方向で焦点位置が異なってきます、これを非点収差といいます。


  3. Φ20mm、f=100mmアポクロマートレンズ等倍光学系
     (1)「光線追跡-等倍3色f100.xls 」をダブルクリックでオープンして、シート「IN_FM」をクリックすると光学系の条件が表示されます。
    (2)光学ガラスは「S-FPL53」と「S-NBM51」と「S-BAH27」を使用しました。

    スポットダイアグラム計算条件入力表
    No記号説明
    1Mp2処理モード(Mp=1入射位置を変数、Mp=2入射角度を変数)
    2NJ8変数範囲の分割数(±NJに分割する)
    3PR0位置変化範囲半径(mm)(Mp=1の時有効)
    4AR0.09角度変化範囲半径(rad)(Mp=2の時有効)
    5U00入射X方向角度(rad)(中心光線を決定)
    6V00入射Y方向角度(rad)(中心光線を決定)
    7X00入射X方向位置(mm)(中心光線を決定)
    8Y00入射Y方向位置(mm)(中心光線を決定)
    光学系基本定数表
    L面数 11
    波長数3
    面数 面種類曲率 位置オフセットXオフセットY最適化最適化屈折率1屈折率2屈折率3-
    無次元無次元(1/mm) (mm)(mm)(mm)条件レンズ番号486.1546.1656.3-
    iM(i)1/R(i) D(i)Ox(i)Oy(i)CaR[i]CR[i]111-
    00094.700V-111-
    100.00231919400--1.713511.705571.6965S-BAH27
    20-0.0432831200--1.623111.616691.60925S-NBM51
    300.0297194400--1.441951.439851.43733S-FPL53
    40-0.022377198.900--111-
    50098.900--111-
    600.0223771400--1.441951.439851.43733S-FPL53
    70-0.0297194200--1.623111.616691.60925S-NBM51
    800.0432831400--1.713511.705571.6965S-BAH27
    90-0.0023191994.700P0111-
    1000000--111-
    *処理モードMp=2としました。
    *角度変化範囲AR=0.09としました。
    *面数i=5を基準に対称配置としました。
    *曲率1/Rは基準面を境に符号が反転します。
    *面i=0の最適化条件CaR(0)=Vは焦点位置最適化のため、設定します。
    *面i=9の最適化条件CaR(9)=Pは正符号で面i=0と同期変化を意味します。
    *最適化レンズ番号CR(7)=0は同期する面番号を指定します。

    (3)シート「IN_FM2」をクリックします。
    * 「光線追跡-等倍2色f100.xls 」と同一です。
    (4)シート「操作」の「レンズ間隔最適化計算実行」ボタンを押します。
    (5)シート「操作2」の「間隔最適化計算実行」ボタンを押します。
    (6)シート「操作」の「スポットダイアグラム計算実行」ボタンを押します。
    (7) 「光線光線追跡-3色f25.xls」のシート「操作」をクリックし、「スポットダイアグラム計算実行」ボタンを押します。
    (8)シート「変換」をクリックするとスポットダイアグラムが表示されます。



    (9)シート「IN_FM」をクリックしX0=0.5を設定します。
    (10)シート「操作」の「スポットダイアグラム計算実行」ボタンを押します。



    *スポットが楕円形になり、ばらつきが大きくなることが確認できます。
    *評価光線の設定と「間隔最適化計算実行」で像面湾曲を調べることができます。



    *図11-3から光学中心から離れるに従い、焦点位置が短くなることがわかります。
    *半径方向と円周方向で焦点位置が異なってきます、これを非点収差といいます。


  4. アクロマートレンズの像面補正後の像面湾曲
    *有効レンズ半径9mmの最大開口数NA=0.09ですが、開口数NA=0..06として像面補正を実施しました。
    *f=100mm、NA0.06の開口数NA絞りの直径はΦ12mmとなります。
    *像面湾曲グラフを以下に示します。



    *アクロマートレンズは像面補正前後で、像面湾曲の値がほとんど変化しないことが確認できます。
    *アクロマートレンズは曲率半径最適化できる面数が3面で、レンズ中心光束のみで3面の曲率半径が決定されます。
    *像面湾曲補正は無理のようです。


  5. アポクロマートレンズの像面補正後の像面湾曲
    *有効レンズ半径9mmの最大開口数NA=0.09ですが、開口数NA=0..06として像面補正を実施しました。
    *f=100mm、NA0.06の開口数NA絞りの直径はΦ12mmとなります。
    *像面湾曲グラフを以下に示します。



    *アポクロマートレンズは像面補正前後で、像面湾曲の値が大幅に改善していることが確認できます。
    *アポクロマートレンズは像面湾曲補正が有効です。


  6. 像面補正後 Φ20mm、f=100mmアポクロマートレンズ等倍光学系
     (1)「光線追跡-等倍3色f100-像面.xls 」をダブルクリックでオープンして、シート「IN_FM」をクリックすると光学系の条件が表示されます。
    (2)光学ガラスは「S-FPL53」と「S-NBM51」と「S-BAH27」を使用しました。

    スポットダイアグラム計算条件入力表
    No記号説明
    1Mp2処理モード(Mp=1入射位置を変数、Mp=2入射角度を変数)
    2NJ8変数範囲の分割数(±NJに分割する)
    3PR0位置変化範囲半径(mm)(Mp=1の時有効)
    4AR0.06角度変化範囲半径(rad)(Mp=2の時有効)
    5U00入射X方向角度(rad)(中心光線を決定)
    6V00入射Y方向角度(rad)(中心光線を決定)
    7X00入射X方向位置(mm)(中心光線を決定)
    8Y00入射Y方向位置(mm)(中心光線を決定)
    光学系基本定数表
    L面数 11
    波長数3
    面数 面種類曲率 位置オフセットXオフセットY最適化最適化屈折率1屈折率2屈折率3-
    無次元無次元(1/mm) (mm)(mm)(mm)条件レンズ番号486.1546.1656.3-
    iM(i)1/R(i) D(i)Ox(i)Oy(i)CaR[i]CR[i]111-
    00098.200--111-
    100.0142871400V-1.713511.705571.6965S-BAH27
    200.00938964200V-1.623111.616691.60925S-NBM51
    300.0298416400V-1.441951.439851.43733S-FPL53
    40-0.013886595.300V-111-
    50095.300--111-
    600.0138865400M41.441951.439851.43733S-FPL53
    70-0.0298416200M31.623111.616691.60925S-NBM51
    80-0.00938964400M21.713511.705571.6965S-BAH27
    90-0.014287198.200M1111-
    1000000--111-
    *処理モードMp=2としました。
    *角度変化範囲AR=0.09としました。
    *面数i=5を基準に対称配置としました。
    *曲率1/Rは基準面を境に符号が反転します。
    *面i=1〜4の最適化条件CaR=Vは曲率最適化のため、設定します。
    *面i=6〜9の最適化条件CaR=Mは逆符号で面i=1〜4と同期変化を意味します。
    *最適化レンズ番号CR=1〜4は同期する面番号を指定します。
    (3)シート「IN_FM2」をクリックします。
    レンズ曲率(1/R)最適化計算入力表
    No記号説明
    1RN10収束演算繰り返し回数
    2DH0.000001//偏微分を行う際の変化量を設定
    3Nray35評価光線の本数(MAX100)
    4Rx1目標位置重み
    5Ru0目標角度重み
    6RN15曲率半径最適化+軸間距離最適化の曲率半径最適化繰り返し回数
    7RN25曲率半径最適化+軸間距離最適化の軸間距離最適化繰り返し回数
    8DH10.000001曲率半径最適化+軸間距離最適化の軸間距離変化量
    評価光線の設定
    -入射(mm)入射(rad)目標(mm)目標(rad)
    連番X位置Y位置X角度Y角度X位置Y位置X角度Y角度
    [i]X0[i]Y0[i]U0[i]V0[i]TX[i]TY[i]TU[i]TV[i]
    000-0.0600000
    100-0.0400000
    200-0.0200000
    300000000
    4000.0200000
    5000.0400000
    6000.0600000
    70.50-0.060-0.5000
    80.50-0.040-0.5000
    90.50-0.020-0.5000
    100.5000-0.5000
    110.500.020-0.5000
    120.500.040-0.5000
    130.500.060-0.5000
    140.500-0.06-0.5000
    150.500-0.04-0.5000
    160.500-0.02-0.5000
    170.5000-0.5000
    180.5000.02-0.5000
    190.5000.04-0.5000
    200.5000.06-0.5000
    2110-0.060-1000
    2210-0.040-1000
    2310-0.020-1000
    241000-1000
    25100.020-1000
    26100.040-1000
    27100.060-1000
    28100-0.06-1000
    29100-0.04-1000
    30100-0.02-1000
    311000-1000
    321000.02-1000
    331000.04-1000
    341000.06-1000
    *入射X位置には、0と0.5と1を設定します。
    *光線の角度は-0.06〜0.06を設定します。
    *光線角度変更は、X角度(半径方向)とY角度(円周方向)に行います。
    *評価光線数は35と多くなります。
    (4)シート「操作」の「曲率半径最適化計算実行」を押します。
    N次元Gauss-Newton法によるレンズ間隔(D)最適化計算結果
    NoEXaXsYaYs1/R(0)1/R(1)1/R(2)1/R(3)
    10.0006800.0005300.000430.014290.009390.02984-0.01389
    20.0006800.0005300.000440.014370.009370.02996-0.01381
    30.0006800.0005300.000440.014410.009360.03003-0.01376
    40.0006800.0005300.000440.014440.009360.03007-0.01373
    50.0006800.0005300.000440.014460.009360.03009-0.01371
    60.0006800.0005300.000440.014470.009350.03011-0.0137
    70.0006800.0005300.000440.014470.009350.03012-0.0137
    80.0006800.0005300.000440.014480.009350.03012-0.0137
    90.0006800.0005300.000440.014480.009350.03012-0.01369
    100.0006800.0005300.000440.014480.009350.03013-0.01369
    (5)シート「操作2」の「曲率最適化コピー」ボタンを押すと採集結果が「IN_FM」にコピーされます。
    (6)シート「操作」をクリックし、「スポットダイアグラム計算実行」ボタンを押します。
    (7)シート「変換」をクリックするとスポットダイアグラムが表示されます。



    (8)シート「IN_FM」をクリックしX0=2を設定します。
    (9)シート「操作」の「スポットダイアグラム計算実行」ボタンを押します。



    *光軸中心から2mm離れた位置でも、スポットのばらつきが小さいことが確認できます。


  7. f100mm等倍光学系の検討纏め
    (1)アクロマートレンズは光学ガラスが2種類、レンズ面数が3面と単純なため容易に自動最適化設計が可能です。
    (2)アクロマートレンズはレンズ中心の光束のみでレンズの曲率半径が自動最適化できる。
    (3)アクロマートレンズ2個を使用した等倍光学系は、レンズ中心で最適化されており像面が湾曲している。
    (4)アクロマートレンズ2個を使用した等倍光学系は、像面湾曲補正が有効でない。
    (5)アクロマートレンズ2個を使用した等倍光学系は、フィールドサイズを十分大きくするのが難しい。
    (6)アポクロマートレンズは光学ガラスが3種類、レンズ面数が4面と複雑になるため、自動最適化設計が難しい。
    (7)アポクロマートレンズ2個を使用した等倍光学系は、像面湾曲補正が有効である。
    (8)アポクロマートレンズ2個を使用した等倍光学系は、フィールドサイズを大きくしやすい。
    (9)性能比較でアポクロマートレンズが優れる。







12章:f50mm等倍光学系の検討に行く。

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