1章:私の考える原子構造モデル

  1.  古典力学原子モデル
     古典力学原子モデルを図1-1に示します。図1-1は単純化のため、水素原子モデルを示します。
    原子核には+の電荷を持った陽子が1個あり、原子核の回りを-の電荷を持った電子1個が回っています。  以上、古典モデルではエネルギーは任意の連続値をとることができる。
    しかし、上記のモデルでは、数々の原子の持つ特性を明確に説明することは困難であり、実用性に乏しい。

  2.  量子力学原子モデル
     量子力学原子モデルを図1-2に示します。
     量子力学では、電子の位置は確率密度として求めるため、正確な位置は特定できずに分布として表現されます。実際は位置ははっきりわからないのです。
     従って、はっきりした原子モデルは表現できません。

  3.  量子力学の基本概念
     古典力学では、全ての物理量が連続変数であり、いくらでも細かく分割できるの対し、量子力学では分割不可能な物理量が存在し、物理量が離散的な値をとる。
     原子レベルでの物理量を扱うには、連続→離散への概念の変革が不可欠である。
     この分割不可能な物理量がプランク定数(h)であり、単位はエネルギー(J)と時間(s)の積(Js)または(kg*m^2/s)を持つ。
        h=6.62E-34 (Js)または(kg*m^2/s) ---(1.6)
      注:E-34は10の-34乗の意味で用いる。

     今、仮に光りのエネルギーをE、光の振動数をυ(単位:1/s)とすると、光りのエネルギーの最小単位は下記のとおりとなる。
      E=h*υ ---(1.7)
     (1.7)式の意味は光の波長が固定された場合、光りのエネルギーは(1.7)式の整数倍の値以外取り得ないことを示す。
     光の運動量をP(単位:kg*m/s)、光の波長λ(単位:m)とするならば
       P=h/λ ---(1.8)
     となり、 この光の最小単位は光子と呼ばれ、粒子的な振る舞いをする。

     逆に質量m(単位:kg)の物体が速度V(単位:m/s)で移動しているとすると、
       m*V=h/λ ---(1.9)
     の関係が成立する。この(1.9)式の意味は運動量m*Vは波長λの波動的振る舞いをするという意味となる。言い換えると、運動量m*Vの位置は波長λの間に存在する。
     


  4.  私の考える原子モデル
     私の考える原子モデル概念図を図1-3に示します。
     このモデルは量子力学の概念をベースとし、量子力学の概念の理解を容易にするため、仮想物体である電子受容体を追加しています。
     電子受容体はあくまでも量子力学規則の可視化のための仮想物体であり、現実の物ではありません。

  5.  電子受容体のモデル
       電子受容体は離散的エネルギー順位と原子の結合間距離の関係を説明するために付加した概念であり、以下に説明する性質を持つ。
    (1)量子力学で証明された離散的エネルギー順位と同じ数の電子受容体の数を有する。
      これには、最外殻の電子の外側の電子軌道も含む。
    (2)電子受容体のない場所では電子は自由電子となる。
    (3)電子受容体の腕の長さは電子軌道半径に等しい。(原子間距離を決定する。)
    (4)電子受容体の腕は相互に干渉することなく、電子受容体はそれぞれ独立に電子軌道の球面上で移動可能である。(電子受容体の腕は電子軌道半径のみ規定するガイドとして考える。)
      以上の性質は原子の持つ特性を視覚化して説明するための仮定であり、その有効性は以下に述べる原子間結合の性質で明らかとなる。

  6. 2章:原子間結合の性質に行く。
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