15章:計算結果の検討

  14章で計算した結果をグラフにして、結果を検討してみよう。
  1.  ポテンシャル電位Φ(V),電界E(V/m)計算結果
     表14-6の計算結果のグラフを図15-1に示す。

     図15-1において、xが0に近い方がn型半導体、xが大きい方がp型半導体となっている。
     図から明らかなように、ポテンシャル電位Φ(V)はn型半導体側で正、p型半導体側で負となり、近似的に2つの2次曲線で構成されるカーブに従う。
     また、ポテンシャル電位Φ(V)の絶対値は、半導体の幾何学的寸法や不純物濃度により変化する。

     電界E(V/m)はほぼ直線的に変化し、山形となる。電界E(V/m)はn型半導体とp型半導体の境界で最大となり、絶対値は、半導体の幾何学的寸法や不純物濃度により変化する。

  2.  正孔密度[po](個/m^3),自由電子密度[no](個/m^3)計算結果
     表14-7の計算結果のグラフを図15-2に示す。

     自由電子密度[no](個/m^3)は」n型半導体側で大きく、p型半導体側で小さくなる。逆に正孔密度[po](個/m^3)はp型半導体側で大きく、n型半導体側で小さくなる。
     ただし、密度の絶対値は不純物濃度2E+21にたいし、3E+17と大幅に減少していることを見逃してはいけない。キャリアの大多数は反対側に流れ込んでいるのである。

  3.  正味動きえる電荷(C/m^3),正味全電荷(C/m^3)
     表14-8の計算結果のグラフを図15-3に示す。

     動きえる電荷は動き平衡状態となっているため、正味全電荷と比較して、正味動きえる電荷は小さくなっている。
     正味全電荷はn型半導体側で正、p型半導体側で負に帯電している。

  4.  自由電子の電位(V),正孔の電位(V)計算結果
     表14-9の計算結果のグラフを図15-4に示す。

     図15-4はポテンシャル電位Φ(V)を基準順位であるフェルミ順位と一致させ、自由電子の電位(V)と正孔の電位(V)を表わしている。
     図から、明らかなように電流のない平衡状態においては、自由電子の電位(V)と正孔の電位(V)は一定となっている。

  5.  不均一材料の纏め
    (1)電流のない平衡状態においては、正孔密度[po](個/m^3),自由電子密度[no](個/m^3)の分布が均一になろうとする拡散電流とそれと阻止しようとする電界E(V/m)が発生する。この2つの力がバランスした状態で平衡となる。
    (2)上記平衡状態において、ポテンシャル電位Φ(V)の分布が発生する。
    (3)ポテンシャル電位Φ(V)を基準順位であるフェルミ順位と一致させた場合、自由電子の電位(V)と正孔の電位(V)は一定となる。


  6. 16章:ダイオードの整流特性に行く。
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