4章:ボルツマン分布

  いよいよ、難解な半導体の物理理論を開始しましょう!!
 しかし、いきなり半導体のエネルギー分布を論じる前に準備運動が必要です。
  1.  重力下の理想気体の密度分布
     準備運動として、重力下におかれた温度Tの理想気体の円柱を考えよう。(図4-1)そのような気体分子は相互作用をしないが温度Tの壁とは衝突しなければならない。(温度一定の条件を満足するために必要)現実の地球の大気とは異なるがもし、電子が相互作用をしない場合は類似条件となる。

     また、理想気体の法則から、(4-2)式が成立する。
    PV=RT ----(4-2)
    ここにVは気体1モルの体積、R気体定数(R=8.31E+03J/kgmol.deg)、Tは温度である。体積Vはアボガドロ数([No]=6.025E+29分子数/kgmol)によって、分子数nと結びつけられる。
    V=[No]/n ----(4-3)
    (4-2)(4-3)式から
    P=n(R/[No])T ----(4-4)
    (4-4)式の全微分をとると
    dP=(R/[No])Tdn ----(4-5)
    (4-1)(4-5)式から
    -nmgdz=(R/[No])Tdn ----(4-6)
    (4-6)式を変形して

     以上の証明で明らかなように重力化における理想気体の単位体積あたりの分子数は(4-8)(4-9)(4-11)式により求めることができる。
    もし、ここで仮にエネルギーE(z)を持つ自由電子が理想気体と同じ特性を持つとするならば質量m、重力g、高さZの積をエネルギーE(z)に置き換え、気体定数Rとアボガドロ数[No]の比 R/[No]をボルツマン定数kとおきかえるだけでよい。Aを任意の定数として下記の(4-12)式の関係が一般的に成立する。


     
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