12章:コンデンサ

    作成2013.01.18

  1. 平行板コンデンサ
     図12-1に示すように、電荷を蓄える目的で2つの電極を絶縁物を隔てておいたものをコンデンサと いいます。この絶縁体を誘電体といいます。
     コンデンサの両極間にV(V)の電圧を与えたとき、一方の極の電荷が+Q(C)であるとすれば、他方の 極板には必ず-Q(C)の電荷が拘束されます。そこで

     (12.1)式で定義された係数Cをコンデンサの静電容量といい、単位はファラッド(F)とします。実用的に はμFやpFが用いられます。



  2. 例題12-1
     0.08μFのコンデンサに200Vを加えたときに蓄えられる電荷量はいくらか?

    解答



  3. 平行板コンデンサの静電容量

    となります。


  4. 例題12-2
     図12-2に示すように、有効面積50cm2の金属板8枚を2mmの間隔に配置し、一つおきに同極につ なぎ比誘電率2.3の油を充たしたときの容量はいくらか?

    解答
     図12-2から実質の面積Aは1枚の有効面積の7倍となります。したがって




  5. コンデンサの合成
    (1)直列接続
     図12-3に示すようにコンデンサを並列に接続した場合、各コンデンサに同じ電圧Vがかかります。
     合成容量をC0とした場合

     となります。



    (2)並列接続
     図12-4に示すようにコンデンサを直列に接続した場合、各コンデンサには同じ電荷量Qが蓄積されます。
     合成容量をC0とした場合

     となります。



  6. 例題12-3
     4μFと6μFと10μFの並列および直列接続の容量を求めよ。

    解答
    並列の場合



    直列の場合



  7. 例題12-4
     図12-5に示す回路において、下記条件における電圧V1とV2を求めよ。
    (a)スイッチS1だけ閉じた時
    (b)次にS1を開き、S2とS3を閉じた時
    (c)さらにS4を閉じた時
    (d)さらにS3を開いた時

    解答
    (a)スイッチS1だけ閉じた時合成容量は

    電圧V1とV2の値は

    (b)次にS1を開き、S2とS3を閉じた時
     Cと2Cの並列容量Cbは

    電圧V1は

    電圧V2は

    (c)さらにS4を閉じた時
    3Cと6Cの並列容量Ccは

    電圧V1は

    電圧V2は

    (d)さらにS3を開いた時は電流が流れないため、V1とV2は変化しません。



  8. コンデンサに蓄えられるエネルギー
     C(F)のコンデンサに加える電圧V(V)をt(s)かかって均等にに上昇した場合平均電流Iave(A)は

    です。そして、その平均電圧はV/2です。したがってコンデンサの充電に要したエネルギーWは

     の関係が成立します。(12.16)式は時間tと無関係に成立します。すなわち、電圧Vにおける微 小電荷dQによるエネルギーdWは

    です。電荷量が0〜Qまでの積分は

    となり、時間とは無関係に成立します。


  9. 例題12-5
     あるコンデンサに加える電圧を500Vから8500Vまで2s間流したら平均電流が0.5mAであった。コンデンサの容量はいくらか?

    解答



  10. 例題12-6
     0.2μFのコンデンサに1000Vを加えたときのエネルギーはいくらか?

    解答



  11. CR回路特性
     図12-6に示すCR回路において、t=0における電荷qはゼロとします。スイッチSを閉じ てからt時間後の電流Iはどうなるでしょう?
     オームの法則から

    また

    (12.23)式に(12.24)式を代入して整理すると

    (12.25)式は1階線形微分方程式です。1階線形微分方程式の一般形は

    であり、一般解は

    となります。したがって

    となります。t=0でq=0の条件を代入すると

    したがって

    (12.30)式を微分すると

    となります。



  12. 例題12-7
     0.5μFのコンデンサに2000Ωの抵抗を通じて1000Vを加えたときの電流を0.1ms刻みで2msまで計算してグラフにせよ。

    解答
     解答のEXCEL計算表は下記で参照できます。
    「12-1.xls 」にいく。


  13. .インダクタンスに蓄えられるエネルギー
     自己インダクタンスがL(H)のコイルに電流をゼロからI(A)までt(s)かかって均等にに上昇した 場合平均電圧Eave(V)は

    です。したがってインダクタンスに蓄えられるエネルギーWは

     の関係が成立します。(12.31)式は時間tと無関係に成立します。すなわち、微小電流変化dIに よるエネルギーdWは

    です。電流が0〜Iまでの積分は

    となり、時間とは無関係に成立します。


  14. CL回路特性
     図12-7に示すCL回路において、t=0における電流iはゼロとします。スイッチSを閉じてからt時間後の電流 iはどうなるでしょう?
     オームの法則から

    従って

    (12.37)式は1階線形微分方程式です。1階線形微分方程式の一般形は

    であり、一般解は

    となります。したがって

    となります。t=0でi=0の条件を代入すると

    したがって

    となります。



  15. 例題12-8
    1mHのインダクタンスに1Ωの抵抗を通じて100Vを加えたときの電流を0.2ms刻みで5msまで計算してグラフにせよ。

    解答
     解答のEXCEL計算表は下記で参照できます。
    「12-2.xls 」にいく。














13章:交流に行く。

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