22章:3次元パソコン制御ルータ加工機の製作(1)ルータ編

    作成2015.05.09

     簡易加工工具としてリリーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーター 30708を購入してみました。

  1. リリーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーター 30708
    (1)購入先:アマゾン
    (2)価格:¥1324
    (3)主な仕様
    電源DC3V/単4アルカリ乾電池2本
    *無負荷回転数:11000回転/分
    *付属先端工具:ダイヤモンドビット×1本、金属用軸付砥石/WA材×1本
    *先端軸径:直径2.35mm
    *使用可能素材:ガラス・ボルト・貝殻・陶磁器・タイル・貴金属・非鉄金属・石材・ステンレスなど
    *用途:模様彫り、文字彫刻

    (4)外観



  2. 3次元パソコン制御化の検討
     単4アルカリ乾電池2本で駆動すれば、問題はなかったのですが、パソコンからON/OFFする関係上、ON/OFF可能なDC電源でテストしてみました。
    (1)3次元位置制御用のステッピングモータの駆動電圧は12Vでしたので、12V5AのDC電源を使用することにしました。
    (2)可変三端子レギュレータ LM338T 1.2〜32V最大5Aで12Vを3Vに減圧してみたのですが、可変三端子レギュレータ LM338Tがかなり熱くなることが確認されました。
    (三端子レギュレータは減圧9V分が熱になるようです)
    (3)ダーリントン・トランジスタ 2SD1590を用いて、DC12V電源をPWM制御(パルス制御)してリリーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーター 30708を駆動してみました。
    (4)最初は問題無く駆動できたのですが、テストを繰り返しているうちにモータが回転しなくなりました。
    (5)モータを分解してみると、金属ブラシ部分が破損していました。DC12V電源のパルス制御に無理があったようです。
    (6)リリーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーター 30708はモータが破損し、使用不能となりましたが、ダイヤモンドビットとダイヤモンドビット固定部品の活用を検討しました。


  3. 代替DCモータの選定
     代替DCモータとしてDCモーター RE−280RA−2865を選定しました。
    (1)購入先:秋月電子通商
    (2)価格:¥130
    (3)主な仕様
    ・電圧範囲:1.5〜4.5VDC(標準3.0V)
    ・無負荷時電流:0.16A(0.20Amax)
    ・無負荷時回転数:9200回転/分(±10%)
    ・負荷電流:0.87A(1.13Amax)
    ・定格負荷時回転数:7770回転/分(±10%)
    ・負荷:20.0g.cm
    ・負荷出力:1.6W
    ・効率:61%
    ・静止電流:4.8A
    ・静止トルク:129g・cm
    (4)詳細仕様
     仕様詳細は22-1.pdfを参照願います。
    [22-1.pdf]をダウンロードする。

    *リリーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーター のDCモータと軸径が同じで、電圧も同じですがひとまわり大きなDCモータです。
    *リリーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーターのダイヤモンドビット固定軸継手が使用できます。
    *ダイヤモンドビット固定軸継手は精密部品で自作困難な重要部品です。(リリーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーターの最重要部品です。)


  4. 代替DCモータの実装固定
     代替DCモータの実装固定外観写真を以下に示します。

    *DCモータはt2mmのSUS430板にt2の防振ゴムをかいして固定しました。
    *強固に固定すると振動しやすくなります。
    *ダイヤモンドビットとダイヤモンドビット固定軸継手は故障したリリーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーターの部品を転用しました。
    *ダイヤモンドビットが加工面に接すると板ばねが変形して逃げる構造になっています。
    *ダイヤモンドビットが加工面に接する位置を検出するため、圧力センサーFSR400 SHORTを設置しました。
    *電圧レジュレータの放熱用としてt1×140×140mmのアルミ板を使用しました。


  5. DCモータ駆動用電源回路図
     DCモータ駆動用電源回路図を以下に示します。

    *マイコンPIC18F455のRC0ピン出力をSC1815で増幅し、低損失レギュレーター 3.3V2A PQ3RD23をON/OFF制御します。
    *PQ3RD23は2個並列に配置しました。
    *PQ3RD23の放熱性向上のため、t1×140×140mmのアルミ板に固定しました。
    *上記条件で発熱の問題は発生しませんでした。(減圧分はエネルギーロスとなります。)


  6. 電圧レギュレータの選定
     電圧レギュレータとして低損失レギュレーター 3.3V2A PQ3RD23(2個入)を選定しました。
    (1)購入先:秋月電子通商
    (2)価格:¥100
    (3)主な仕様
    *出力:3.3V 最大2A
    *出力ON/OFF端子端子付き(HIGHまたはオープンで出力がONになります)
    *電位差:0.5V(最大)
    (4)詳細仕様
     仕様詳細は22-2.pdfを参照願います。
    [22-2.pdf]をダウンロードする。


  7. 圧力センサーの選定
     圧力センサーとして圧力センサーFSR400 SHORTを選定しました。
    (1)購入先:秋月電子通商
    (2)価格:¥350
    (3)主な仕様
    *厚さ:0.20〜1.25mm
    *感圧範囲:0.2N〜20N
    *個体間の押力再現性:
     ±15%〜±25%(対公称抵抗値)
    *1個当りの押力再現性:±2%〜±5%
    (対公称抵抗値)
    *最小感度:20g〜100g
    (4)詳細仕様
     仕様詳細は22-3.pdfと22-4.pdfを参照願います。
    [22-3.pdf]をダウンロードする。
    [22-4.pdf]をダウンロードする。


  8. ルータ編まとめ
    (1)リーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーター 30708はガラス面に模様を描く作業に適するとおもわれます。
    (2)XYZステージ駆動用ステッピングモータの供給電圧は12V、ルーター用DCモータの供給電圧は3Vとなります。
    (3)エネルギー効率と信頼性を重視するならば、12Vと3VのDC電源を使用するのがベストです。
    (4)2種類のDC電源を使用せずに12V電源を3Vに電圧レギュレータで減圧すると、電圧レギュレータは発熱します。
    (5)12V電源を減圧せずにPWM制御(パルス制御)すると3V仕様のDCモータを回転できますが、信頼性に問題が発生します。
    (6)大電流のパルス制御を行うと無視できないノイズが発生し、マイコンやUSB通信の誤動作が発生しました。
    (7)マイコンやUSB通信の誤動作が発生した時、DCモータが破損します。
    (8)電圧レギュレータを十分な大きさの放熱板に取付けることにより、過熱が防止できました。
    (9)電圧レギュレータの減圧分はエネルギーロスになりますが、DC電源を12V5Aの一個に纏めることができました。
    (10)リリーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーター のDCモータと軸径が同じで、電圧も同じですがひとまわり大きなDCモータに変更しました。
    (11)リリーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーターのダイヤモンドビット固定軸継手が使用できます。
    (12)ダイヤモンドビット固定軸継手は精密部品で自作困難な重要部品です。(リリーフ(RELIFE) 電池式ハンディールーターの最重要部品です。)




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