5章:増幅回路の簡易計算方法の検討

    作成2017.04.20

  1. 矩形信号の発生
     矩形信号発生器として、Arduino(アルドゥイーノ) unoを使用します。
    詳細は
    Arduino(アルドゥイーノ) unoを参照願います。


  2. 矩形信号の発生スケッチ(プログラム)
    //tone
    void setup() 
    {
        tone(13, 40000);
    }
    
    void loop() 
    {
    }
    
    解説:
    (1)13番ピンに周波数40000Hzの矩形信号を出力します。
    (2)設定可能な最大周波数は65535Hzです。
    (3)設定可能な最小周波数は31Hzです。


  3. 矩形信号波形データの保存
     矩形信号波形データの保存は、Hantek 6022BE PC USB 2CH デジタルオシロスコープを使用します。
    詳細は Hantek 6022BEデジタルオシロスコープとAMラジオを参照願います。
    補足説明
    (1)Windows7からWindows10にアップグレード後正常動作しなくなりました。
    (2)Hantek 6022BEデジタルオシロスコープを接続後、「システム」_「デバイスマネージャー」_「Hantek622BE DRIVER 2」 を更新する必要がありました。
    (3)Time/divの設定と保存時の時間間隔Δtには以下の関係がありました。
    NoTime/divΔt
    1500us1us
    2200us1us
    3100us1us
    450us1us
    520us0.25us
    610us0.125us
    75us0.0625us
    82us0.02us
    91us0.01us


  4. 増幅回路
     図5-1に>増幅回路を示します。



     図5-1において、入力電圧はArduino(アルドゥイーノ) unoを使用し、 矩形信号の発生スケッチ1(プログラム1)を使用します。
     矩形信号波形データはHantek 6022BE PC USB 2CH デジタルオシロスコープを 使用して保存したデータを使用します。
     このデータを「V0=f(t)」とします。
     コンデンサーに蓄積される電荷Q(単位クーロン)は電流をi(単位A)とすると

    抵抗とコンデンサの電圧の和は、入力電圧に等しくなります。すなわち

    出力電圧V1は

    電荷Qの初期値をゼロとするならば、 (1-2)式から電流iが求まります。
    電流iが決定されれば、 (1-1)式から電荷Qの計算ができます。
    電流iが決定されれば、 (1-3)式から出力電圧V1が計算できます。
    これらの計算はEXCELの表計算で実行できます。


  5. ベース・エミッタ間電圧とベース電流の関係
     ベース・エミッタ間電圧とベース電流の関係グラフを以下に示します。



    電圧・電流特性を定数AとBを用いて、下記の式で近似します。

    Ta=25℃のグラフから10μAで0.621V、1000μAで0.785Vとするならば

    (5-2)式はゴールシークを使って解くことができます。定数AとBを代入すると

    となります。電圧・電流特性をグラフ化すると以下のようになります。





  6. ベース電流Ibの計算式
     図5-1からベースの電圧Vbeは

    です。電流Ibは以下の条件式から求めます。

    (5-5)式を満足する電流Ibはニュートン法を用いて求めることができます。電流Ibの初期値は

    とします。補正1回目の電流は

    で計算します。 (5-7)式の計算を繰り返すと精度が高くなりますが、とりあえず5回とします。


  7. ベース電流Ibとコレクタ電流の関係式
     ベース電流Ibとコレクタ電流の関係式は下記のグラフから求めます。



     コレクタ・エミッタ管電圧とコレクタ電流の関係グラフにコレクタ電圧V2=5V、 抵抗R3=100Ωの直線を書き込み、ベース電流曲線との交点から、ベース電流と コレクタ電流の関係式を求めます。
     ベース電流とコレクタ電流の関係表は

    ベース電流(A)コレクタ電流(A)
    00
    0.00020.0277171
    0.00050.0467391

    上記の表から関係式

    を求めます。
     出力電圧の計算式は

    となります。


  8. 5-1.xls(増幅回路の計算)のダウンロード
      5-1.xls(増幅回路の計算)は以下からダウンロードできます。
    5-1.xls(増幅回路の計算)をダウンロードする。
     5-1.xlsはOpenOffice 4.1.3でも問題無く動作しました。


  9. 計算結果と実測値の比較グラフ
     計算結果と実測値の比較グラフを以下に示します。
    周波数=40000Hz
    時間間隔Δt=0.25μs
    抵抗R1=3.3kΩ
    容量C1=1000pF
    抵抗R2=3.3kΩ
    トランジスター=2SC1815
    コレクタ電圧V2=5V
    抵抗R3=100Ω





  10. 増幅回路の簡易計算方法の検討まとめ
    (1)増幅回路の出力電圧波形の検討において、計算値と実測値が類似の形状になることが確認できました。
    (2)増幅回路の入力信号としては、微分回路による微分信号をもちいました。
    (3)増幅回路では、整流と反転・増幅が実行されます。
    (4)出力電圧波形の傾斜に関しては、計算値と実測値で若干の差が発生していますが、正確な原因はわかりません。
    (5)計算はマクロを使用しないため扱いが容易です。




6章:矩形波→三角波変換回路の簡易計算方法の検討に行く。

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