2章:光学ガラスの選定

    作成2019.09.20
  1. 任意の波長における光学ガラスの屈折率
     任意の波長における光学ガラスの屈折率は関数近似式を用いて計算します。一例としてオハラ光学の関数近似式は

    となります。波長λの単位はμmを使用します。


  2. 近軸理論による色補正
     光学ガラスの選定の計算は簡単化のため、SIN(θ)=TAN(θ)= θを前提とする近軸理論を使用します。
     2種の光学ガラスを使用し、凸レンズと凹レンズを組み合わせて色補正をするとします。凸レンズの屈折率をN1、曲率半径をR1とし、凹レンズの屈折率をN2、曲率半径をR2としたときの合成のレンズパワーをΦ、焦点距離をfとしたとき、下記のようになります。

    (2-2)式において、R2はマイナスを設定します。曲率半径の逆数をそれぞれK1、K2とすれば

    (2-3)式において、K1=1とします。
    設計波長480nmにおけるN1の屈折率をN1b、N2の屈折率をN2bとします。
    設計波長660nmにおけるN1の屈折率をN1r、N2の屈折率をN2rとします。
    この時、設計波長480nmにおけるレンズパワーΦbと設計波長660nmにおけるレンズパワーΦrが等しくなるように色補正します。
     すなわち

    (2-4)式を変形すると

     K1=1と(2-4)式でえられたK2を(2-3)式に代入すると各波長における色補正後のレンズパワーΦが求まります。
     設計波長範囲でのレンズパワーΦの平均値と差分(Max-Min)を求めます。そして、レンズパワーΦの平均値が大きく、差分(Max-Min)が小さいのが良い組合せとなります。


  3. 近軸理論による色補正計算結果
     オハラ光学ガラスの定数表と屈折率計算結果、光学ガラス選定計算結果は下記を参照願います。
    「定数表と屈折率計算結果、光学ガラス選定計算結果」 にいく。

    光学ガラス選定計算結果グラフを以下に示します。


     図2-1において、色収差は差分パワーΦが小さいほど改善します。しかし、色収差は差分パワーΦを小さくすると平均パワーΦが小さくなる傾向があえいます。
     平均パワーΦが小さいとレンズパワーが小さくなり、焦点距離が長くなります。レンズパワーを大きくするにはレンズの曲率半径を小さくする必要があり、球面収差の影響を受けやすくなります。
     市販標準レンズはS-BSL7(BK7互換)とS-TIM22(SK2互換)を使用していますが、平均パワーΦが大きく差分パワーΦも大きい組合せです。
      S-BSL7(BK7互換)基準では平均パワーが0.15以上で差分パワーΦが十分小さい組合せが存在しませんでした。
      S-FPL51基準にするとS-BSL7(BK7互換)基準と比較して、差分パワーΦが大幅に小さくなります。この場合も差分パワーΦを優先するか?平均パワーΦを優先するか?悩ましい選択が残ります。
     とりあえず、平均パワーΦを優先するとS-LAH65Vとなります。
      S-FPL53基準にするとS-FPL51基準より、さらに特性が改善します。


  4. 互換光学ガラスの確認
     標準レンズに用いる光学ガラスは互換光学ガラスがあるのが望ましい洗濯です。互換光学ガラスは下記を参照願います。
    「互換光学ガラス」にいく。

    S-FPL51とS-LAH65Vは互換光学ガラスがありますが、S-FPL53は互換光学ガラスが無いことが確認できます。


  5. 光学ガラスの選定纏め
      S-FPL51&S-LAH65Vを第1候補として検討します。







3章:アポクロマート(3色に対して色収差補正)に行く。

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