3章:アポクロマート(3色に対して色収差補正)
作成2019.09.22
- アポクロマート(3色に対して色収差補正)の条件式
光学ガラス1の青における屈折率をN1b、緑における屈折率をN1g、赤における屈折率をN1r。
光学ガラス2の青における屈折率をN2b、緑における屈折率をN2g、赤における屈折率をN2r。
光学ガラス3の青における屈折率をN3b、緑における屈折率をN3g、赤における屈折率をN3r。
とします。 さらに
光学ガラス1の曲率半径の逆数をK1、光学ガラス2の曲率半径の逆数をK2、光学ガラス3の曲率半径の逆数をK3とします。
そして、K1=1とした時のアポクロマート(3色に対して色収差補正)の条件式は以下となります。
(3-1)式を変形して
(3-2)式でK2とK3を決定します。また、K2またはK3の絶対値が1より大きい場合は絶対値の最大が1になるようK1’、K2’、K3’を決定します。
合成のレンズパワーΦは
(3-3)式で各波長でのレンズパワーを計算します。
そして、設計波長範囲でのレンズパワーΦの平均値と差分(Max-Min)を求めます。そして、レンズパワーΦの平均値が大きく、差分(Max-Min)が小さいのが良い組合せとなります。
- アポクロマート(3色に対して色収差補正)計算結果
アポクロマート(3色に対して色収差補正)計算結果は下記を参照願います。
「「アポクロマート(3色に対して色収差補正)計算結果」」
にいく。
光学ガラス選定計算結果グラフを以下に示します。
図3-1において、アクロマート(2色に対して色収差補正)に対して、アポクロマート(3色に対して色収差補正)は色収差が約1/10程度に改善できることが確認できました。
しかし、若干ですが、平均パワーΦが小さくなります。このため、レンズ曲率半径を小さくするか、レンズ枚数を増やす必要性が生じます。
アポクロマート(3色に対して色収差補正)は高精度の色補正が可能ですが、レンズ構成は複雑になります。
- アポクロマート(3色に対して色収差補正)纏め
アポクロマート(3色に対して色収差補正)は高精度の色補正が可能ですが、レンズ構成は複雑になります。
具体的なレンズ設計は、要求性能、コスト総合的な検討が必要になりそうです。
アポクロマート(3色に対して色収差補正)の光学ガラスの組合せは膨大であり、すべての組合せの計算はできませんでした。もっと良い特性の組合せが存在する可能性があります。
しかし、アポクロマート(3色に対して色収差補正)の光学ガラス組合せ公開資料が少ないのが残念です。
- 追加検討
評価光学ガラスにS-FPL55を追加し、以下表の組合せについて、比較検討したいと思います。
No | 種類 | ガラス1 | K1 | ガラス2 | K2 | ガラス3 | K3 | 平均パワーΦ | 差分パワーΦ |
1 | 2色補正 | S-BSL7 | 1 | S-TIM22 | -0.351 | - | 0 | 0.245 | 0.000164 |
2 | 2色補正 | S-FPL51 | 1 | S-LAH65V | -0.353 | - | 0 | 0.213 | 0.000043 |
3 | 2色補正 | S-FPL53 | 1 | S-NBM51 | -0.333 | - | 0 | 0.234 | 0.000045 |
4 | 2色補正 | S-FPL55 | 1 | S-LAH58 | -0.214 | - | 0 | 0.25 | 0.000057 |
5 | 3色補正 | S-FPL51 | 1 | S-LAH65V | -0.878 | S-BAM 4 | 0.654 | 0.187 | 0.000002 |
6 | 3色補正 | S-FPL53 | 0.963 | S-NBM51 | -1 | S-BAH27 | 0.553 | 0.197 | 0.000002 |
7 | 3色補正 | S-FPL55 | 1 | S-LAH58 | -0.78 | S-BAH28 | 0.643 | 0.215 | 0.00001 |
屈折率表
- | 青波長μm | 緑波長μm | 赤波長μm |
光学ガラス | 0.48613 | 0.54607 | 0.65627 |
S-BSL7 | 1.52191 | 1.51825 | 1.51386 |
S-TIM22 | 1.66126 | 1.65222 | 1.6421 |
S-FPL51 | 1.50123 | 1.49845 | 1.49514 |
S-FPL53 | 1.44195 | 1.43985 | 1.43733 |
S-FPL55 | 1.44196 | 1.43986 | 1.43733 |
S-LAH65V | 1.81608 | 1.80811 | 1.79882 |
S-NBM51 | 1.62311 | 1.61669 | 1.60925 |
S-LAH58 | 1.89822 | 1.88815 | 1.87656 |
S-BAM 4 | 1.61536 | 1.60891 | 1.60151 |
S-BAH27 | 1.71351 | 1.70557 | 1.6965 |
S-BAH28 | 1.73688 | 1.72794 | 1.71782 |
4章:平凸レンズ、アクロマートレンズ、アポクロマートレンズ特性の計算に行く。
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