17章:片持ち梁の計算

作成2012.11.03

     図17-1に示すように岸壁から3000mm離れた位置に測定機をとりつけたい。
     測定機は180度回転して、取付調整をおこないたい。この場合、どのような構造ににべきか?

     この課題に対する解答は無限にありますが、よく検討しないと強度不足となったり、自重が大きくなって、運搬・組立が難しくなったりします。



  1. H鋼の梁を使用
     H鋼は強度計算に必要な定数が機械工学便覧に記載されており、最も強度計算が容易な例です。欠点はH鋼はmあたりの質量が大きく重いため、運搬と設置工事が大変です。


     強度計算結果を以下に示します。
    100×50H鋼強度計算表(片もち支持)
    項目記号(=計算式)単位
    ヤング率E205800N/mm^2
    断面2次モーメントI1870000mm^4
    断面係数Z37500mm^3
    梁の長さL3400mm
    集中荷重W500N
    等分布荷重w0.09114N/mm
    梁の重量G=wL309.876N
    集中荷重の計算
    項目記号(=計算式)単位
    最大モーメントM1=WL1700000Nmm
    最大応力σ1=M1/Z45.3333333333333N/mm^2
    最大歪δ1=WL^3/(3EI)17.0215272256089mm
    等分布荷重の計算
    項目記号(=計算式)単位
    最大モーメントM2=wL^2/2526789.2Nmm
    最大応力σ2=M2/Z14.047712N/mm^2
    最大歪δ2=wl^3/(8EI)0.00116350649350649mm
    集中荷重+等分布荷重の計算
    項目記号(=計算式)単位
    最大モーメントM=M1+M22226789.2Nmm
    最大応力σ=σ1+σ259.3810453333333N/mm^2
    最大歪δ=δ1+δ217.0226907321024mm

    EXCEL計算シートは以下で参照できます。
    「100×50H鋼強度計算表(片もち支持)」にいく。

     SS400材の耐力は215(N/mm^2)であり強度的には問題が無いことがわかります。最大撓みが17.0mmもありますがこれも問題ないでしょう。
     強度計算が容易で、加工も素材を一定の長さに切るだけですので容易でしょう。しかし梁の重量は310N(31.6kg)もありますので、運搬と設置工事は重量物の扱いが必要となります。


  2. トラス構造
     図17-2にトラス構造の条件図を示します。節点は5個、部材番号は7であり、結構複雑な条件となります。

    基本計算条件
    項目記号単位備考
    節点数Jn5最大100点
    要素数En7最大100本
    外力の加わる節点数Ns1最大100点
    節点2の固定条件Fixn1モード選択0or1or2
    節点座標
    節点番号X座標(mm)Y座標(mm)支持条件
    100XY固定
    201300モード選択
    31785500
    429000
    53400500
    荷重条件
    節点番号荷重Wx(N)荷重Wy(N)
    50-500
    部材条件
    部材番号節点Pi節点Pjヤング率E(N/mm2)断面積A(mm2)
    11220580050
    21420580050
    31320580050
    42320580050
    53420580050
    63520580050
    74520580050
    変位計算結果
    節点番号変位Δx(mm)変位Δy(mm)
    100
    20-0.0740432227312694
    30.164318641788556-0.373473988077913
    4-0.455150631681244-2.1095425382884
    50.24279288863015-2.87620391877342
    応力・軸力計算結果
    部材番号応力σ(N/mm2)軸力F(N)部材長さ(mm)質量(kg)
    1-11.7216117216117-586.08058608058613000.51025
    2-32.3-161529001.13825
    36.38272308819541319.136154409771853.705747954620.727579506072189
    428.66042306022851433.021153011431956.07387386060.767758995490284
    524.43951718017361221.975859008681221.975859008680.479625524660907
    61050016150.6338875
    7-14.142135623731-707.10678118655707.1067811865480.27753941161572

     H鋼では部材質量が31.6kg、変位量が17mmに対して、トラス構造では質量は5.4kg、変位量は2.9mmと小さくなります。ただし、部材1、2、7は圧縮荷重を受けるので坐屈強度の配慮が必要となります。


  3. トラス計算プログラム
     部材長さの出力を追加しました。(重量計算容易化のため)
     下記のトラスの計算3.xls(フリーソフト)]をダウンロードしてください。

     ダウンロード後はダブルクリックで解凍してから使用してください。
    トラスの計算3.xls(フリーソフト)]をダウンロードする。


  4. 坐屈荷重の計算
     部材2がもっとも坐屈しやすいため、SGP(配管用炭素鋼鋼管)25A(外形Φ34、内径Φ27.6)を使用し、部材1と部材7は20A(外形Φ27.2、内径Φ21.6)として坐屈強度計算をおこなった結果を下記に示します。

    項目記号(=計算式)部材1部材2部材7単位
    ヤング率E205800205800205800N/mm^2
    外形d127.23427.2mm
    内径d221.627.621.6mm
    長さL13002900707mm
    断面2次モーメントI=π(d1^4-d2^4)/6416183.374201031437112.895680465916183.3742010314mm^4
    断面係数Z=π(d1^3-d2^3)/32986.2590312973651794.5782546954986.259031297365mm^3
    断面積A=π(d1^2-d2^2)/4214.633610093255309.63537193781214.633610093255mm^4
    最小断面2次半径K=SQRT(I/A)8.6833173384369610.9480591887338.68331733843696mm
    長柱の細長さ比λ=L/k149.712367904086264.88713204843681.4204954678373無次元
    両端回転の場合n111
    坐屈応力(オイラーの理論公式)σcr=n(π^2)E/λ^290.621189210125428.9483219081211306.392149959512N/mm^2
    軸力F5861615707N
    圧縮応力σ=F/A2.730234094023735.215812359850063.29398550251669N/mm^2
    安全率S=σcr/σ33.19172865377665.5501080006170593.0156340170351判定OK
    比重ρ0.000007850.000007850.00000785kg/mm^3
    部材質量G=ρAL2.190335991001667.048849242164241.19120580433706kg

    EXCEL計算シートは以下で参照できます。
    「坐屈強度計算表」にいく。

     部材2の質量が最大でしつ量7kgとなります。トラスの再計算を行うと
    変位計算結果
    節点番号変位Δx(mm)変位Δy(mm)
    100
    20-0.0172193541235509
    30.154523534077679-0.338505453550084
    4-0.0734113922066517-1.20145240953697
    50.232997780919273-1.52384248037769
    応力・軸力計算結果
    部材番号応力σ(N/mm2)軸力F(N)部材長さ(mm)質量(kg)
    1-2.72595621432829-586.08058608058213002.194075
    2-5.2096774193548-1614.9999999999929007.05715
    36.38272308819536319.1361544097681853.705747954620.727579506072189
    428.66042306022831433.021153011421956.07387386060.767758995490284
    524.43951718017341221.975859008671221.975859008680.479625524660907
    69.99999999999994499.99999999999716150.6338875
    7-3.28886874970489-707.106781186552707.1067811865481.1934194699476

     となり、最大変位が1.5mm、総質量が13kgとなります。実際には回転部分の質量増加があり、回転部分の総質量は約15kg程度となることが予想できます。

  5. 回転軸の強度計算
     回転軸も一応強度計算が必要です。計算結果を下記に示します。

    回転軸強度計算結果
    項目記号(=計算式)単位
    片もち梁の全長L3400mm
    集中荷重W500N
    片もち梁の全質量Gm15kg
    片もち梁のj重心位置Gx1500mm
    最大モーメントM=LW+gGmGx1920500Nmm
    回転軸のスパンLs1460mm
    ラジアル荷重Wr=M/Ls1315.41095890411N
    軸受け直径20mm
    せん断応力τ=4Wr/(πd^2)4.18708312613678N/mm2
    許容せん断応力τmax80N/mm2
    安全率S=τmax/τ19.1063796896271
     上記表において、重心位置と許容せん断応力は大まかな値を設定していますが、安全率を19と大きくしてあるため、厳密な値である必要はありませ ん。回転軸の直径は約Φ20mmで十分ということになります。

    EXCEL計算シートは以下で参照できます。
    「回転軸強度計算表」にいく。


  6. 架台の強度計算
    支持架台の計算条件を図17-3に示します。

    基本計算条件
    項目記号単位備考
    節点数Jn4最大100点
    要素数En5最大100本
    外力の加わる節点数Ns2最大100点
    節点2の固定条件Fixn2モード選択0or1or2
    節点座標
    節点番号X座標(mm)Y座標(mm)支持条件
    100XY固定
    22500モード選択
    301460
    42501460
    荷重条件
    節点番号荷重Wx(N)荷重Wy(N)
    2-13150
    413150
    部材条件
    部材番号節点Pi節点Pjヤング率E(N/mm2)断面積A(mm2)
    112205800250
    213205800250
    324205800250
    414205800250
    534205800250
    変位計算結果
    節点番号変位Δx(mm)変位Δy(mm)
    100
    2-0.006389698736637510
    32.60174034289530
    応力・軸力計算結果
    部材番号応力σ(N/mm2)軸力F(N)部材長さ(mm)質量(kg)
    1-5.26-13152500.490625
    20014602.86525
    3-30.7183999999993-7679.5999999998414602.86525
    431.1654889029517791.372225737741481.249472573752.90695208992598
    5002500.490625
     架線トラスの変位は2.6mm、総質量は約10kgになることがわかります。部材1と部材3は圧縮荷重を受 けるため、坐屈強度の計算が必要となります。


  7. 坐屈荷重の計算
     部材3がもっとも坐屈しやすいため、SGP(配管用炭素鋼鋼管)25A(外形Φ34、内径Φ27.6)を使用し、部材1は20A(外形Φ27.2、 内径Φ21.6)として坐屈強度計算をおこなった結果を下記に示します。
    項目記号(=計算式)部材1部材3単位
    ヤング率E205800205800N/mm^2
    外形d127.234mm
    内径d221.627.6mm
    長さL2501460mm
    断面2次モーメントI=π(d1^4-d2^4)/6416183.374201031437112.8956804659mm^4
    断面係数Z=π(d1^3-d2^3)/32986.2590312973651794.5782546954mm^3
    断面積A=π(d1^2-d2^2)/4214.633610093255309.63537193781mm^4
    最小断面2次半径K=SQRT(I/A)8.6833173384369610.948059188733mm
    長柱の細長さ比λ=L/k28.7908399815549133.356969927833無次元
    両端回転の場合n11
    坐屈応力(オイラーの理論公式)σcr=n(π^2)E/λ^22450.39695624179114.212510436901N/mm^2
    軸力F13157680N
    圧縮応力σ=F/A6.1267198526300524.8033677545811N/mm^2
    安全率S=σcr/σ399.9525056119384.60471785795324判定OK
    比重ρ0.000007850.00000785kg/mm^3
    部材質量G=ρAL0.4212184598080123.54873099777924kg
     部材1や部材5はアンカー固定、回転軸固定のため、より複雑な形状となり、架台の質量も大きくなります。ただし、架台は地上に 設置されるため、重量物の運搬・設置は容易となります。
    EXCEL計算シートは以下で参照できます。

    「坐屈強度計算表」にいく。

  8. ケミカルアンカー強度
     ケミカルアンカー強度の計算表を下記に示します。
    15:16 2012/11/03
    ケミカルアンカー強度計算表
    No項目記号単位備考
    1全ネジボルト安全率S12無次元要設定
    2接着系アンカーのせん断安全率S20無次元自動計算
    3コンクリートのコーン状破壊安全率S30無次元自動計算
    4全ネジボルトの耐力σy205N/mm2要設定
    5既存コンクリートの設計基準強度σb21N/mm2標準値
    6接着系アンカーのせん断強度τa10N/mm2自動計算
    No名称外径谷径穿孔深さ有効穿孔深さ水平投影面積全ネジボルト許容張力せん断の許容引張力コーン状破壊の許容引張力総合許容張力
    d(mm)d1(mm)L(mm)Le(mm)A(mm2)F1(N)F2(N)F3(N)F(N)
    1M12-801210.1068068172038222767554295429
    2M12-1001210.10610088277598222993387608222
    3M12-1201210.10612010840828822212190128848222
    4M12-1401210.10614012856410822214448178018222
    5M16-1001613.8351008426590154091264283918391
    6M16-1201613.8351201043940815409156521243612436
    7M16-1401613.8351401245473915409186611727415409
    8M16-1601613.8351601447258315409216712290515409
    9M20-1202017.2941201003801324077188121199611996
    10M20-1402017.2941401205309324077225741675416754
    11M20-1602017.2941601407068624077263372230622306
    12M20-1802017.2941801609079224077300992865124077
    13M20-2002017.29420018011341124077338613578924077
     上記表からM20で穿孔深さ180mmのケミカルアンカーの強度は安全率2で1本あたり24077Nとなります。この場合の安 全率の計算は以下のようになります。
    No項目記号(=計算式)単位
    1片もち梁の全長L3400mm
    2集中荷重W500N
    3片もち梁の全質量Gm15kg
    4片もち梁のj重心位置Gx1500mm
    5最大モーメントM=LW+gGmGx1920500Nmm
    6アンカーのスパンLa700mm
    7片側アンカー本数Na2
    8アンカー張力Wa=M/(LaNa)1371.7857N/本
    9アンカー許容張力Fn24077N/本
    10安全率S=Fn/Wa17.551575

    EXCEL計算シートは以下で参照できます。

    「アンカー強度計算表」にいく。

     アンカー許容張力にも安全率2がかかっていますので、強度は十分であることがわかります。これで、 大まかですが十分な強度を持つ構造設計が可能であることがわかります。
     具体的な構造設計では、種々の理由で部材の詳細形状が変更になりますが、安全サイドに変更する場 合は問題ありません。



18章:線形計画法(シンプレックス法)に行く。



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